第二回レクチャー『「独学」に学ぶ』

12月13日、第二回レクチャーが行われました。

■テーマ
『「独学」に学ぶ』
■講師
田中純東京大学准教授)


参加者は、学生の方はもちろん、陶芸家の方や実際に住宅を設計されている方など、非常にバラエティーに富んだ面々となりました。

事前拝観を希望された参加者の方々には、レクチャーの前に、一人ずつ虚白庵の空間を体験していただきました。

また、前回と同様、今回も貴重な原図面を拝見することができました。
現存する図面では最も古いもののひとつである「三里塚農場計画」、さらに未発表の「酒造会館」と、合わせて八枚もの図面でした。


14:00-14:15 虚白庵の事前拝観

15:00-16:00 田中先生によるレクチャー(司会:中谷礼仁

16:00-16:30 休憩、図面閲覧
 
16:30-17:30 ディスカッション


まず、白井晟一が持つひとつの特徴である「独学」というキーワードの説明をされました。
橋川文三保田与重郎、日本浪漫派から「イロニー」を導きだし、
さらに堀口捨己立原道造から、建築における「エッセイ性」へと展開された後、
最終的に、「独学」を継承する方法とは何か、という問いかけをされました。


ディスカッションでは、まず、「秋ノ宮村役場」の竣工式の際、白井自身が実際に読んだと思われるスピーチ原稿から、当時の白井の立場や思想を読み取りました。
そして、田中先生と中谷礼仁白井晟一学習会)、そして白井いく磨氏を中心にして、初期の白井晟一と「独学」というテーマについての濃密な議論が行われました。
ディスカッッションの最後に、今回の参加者の方々から、なぜこのレクチャーに参加されたのかということを聞いたとき、
そこに白井晟一が纏う独特の魅力というものが見えてくるような気がしました。


非常に高尚かつ難解なレクチャーではありましたが、後に川村二郎の論や立原道造のエッセイを読みながらゆっくりこの問題を考えたとき、
このテーマが非常に普遍的な問題であると気づかされました。
特に最後の、「独学」を継承する方法とは何か、という問いかけは、未だに答えの出ていない哲学的問題として、
これからの展開が非常に気になるところです。


今回も様々な方々のご協力があってこそ成功したレクチャーであり、そのことを感謝して終わります。


報告者:廣江俊輔(白井晟一学習会)

(当日の写真は後日アップロードさせていただきます)